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まちでであった芸術。そのしごと、しごと場。
by gei-shigoto
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国立第三小学校 展覧会

1日(日)、三小体育館。平成20年度国立市立国立第三小学校展覧会。
図画工作科(平面、立体、集団作品)、書写、家庭科の展示。

朝の体育館。体育館は、2階部分がずっとガラス窓だった。その高い場所から、朝の光。右手の舞台が、明るい。
4年生の立体「かお・カオ・顔」(舞台下)、6年生の集団作品「さす」(舞台先端)、3年生の集団作品「むすぶ」(舞台奥)。3種の作品群を三段に仕立てた、インスタレーション。

【4年 立体 かお・カオ・顔】「大きなダンボールをザクザクと切って、ふしぎな形をつくった。そこからイメージをふくらませて顔にした。重ねたり、はがしたり、切れはしを生かしたりしてつくった。」

舞台下に居並ぶ、60ほどの我が物顔。ザクザク、段ボールを刻む音さえ聞こえる。伎楽面か、三信遠の神楽面か。異形の顔たち。
その一段上に、「さす」の群れが、また横長く陣取る。生け花を挿すレンガのような形の硬いスポンジに、四方八方から細い紙筒を突き刺せるだけ刺した、見たことのない形。深海にいそうな。
そして、奥の壁面に「むすぶ」。前景を引き立てる、淡く輝く縦のライン。
舞台下も奥も、ごっそり占領されていた。

しかし、その個々の奔放な感じとうらはらに、遠目に望んだ感じがいい。足を踏み入れる。不思議なくらい自然に中間色に集まっている。躍動感と穏やかさ。このまちの朝日に、心地よい色合いを発散していた。

【4年 共同 丸める】「手で、コロコロと丸められるものには、どんなものがあるだろう。丸められそうなものを、それぞれ探してきた。毛糸を小さくまいて丸める人。新聞紙を漬け物石くらいの大きさに丸める人。みんなの丸めたものをあつめてならべた。」

「丸める」は、長縄のような白いロープが縁取り。その中にいろいろなものが丸まりひしめき合っている。全体から割り出された区画を担当するのではなくて、意欲は開放されている。時間の充実を受け取る。

3年生の「つるす」のフィールドも、また広い。2本の木を組んで、身近にあるものやいらないものをたくさんひもでつるした作品。つるす順番やひもの長さなどに、こだわりがある。細い木組みの前に座って、一つの配置を探し求める時間。
松ぼっくり、麦などでまとめた子がいる。かたや、折り紙の手裏剣、セロテープの芯、文房具のプラスチックのケースといったセレクション。しかし、プラスチックと枯れ葉が一緒になっている子も。不足のない広大なフィールド。
夥しさによる表現というのは、大人もやってきたことだった。祭りの日の供え物や飾り物。そうでもしなければ伝えにくいもの。一番底を流れている、変らない心情。

【5年 立体 はりがねアート】「はりがねを好きなようにまげて、おもいおもいの形をつくった。はりがねを金づちでたたいてのばす感触も、のびたはりがねの形も気に入った。」 

「はりがねアート」は、15センチほどの円形の基底部が出発点。そこから自力で伸ばし叩いて、形を立ち上げていく試み。
広げるだけでなくて、広げることと叩くこと、二つのものを手渡している。一つでは、多すぎるんだ。2つでもって進んで行く。広げるには、広げたり叩いたり。2つを擁して、人は交互に進んで行ったらいい。個々の課題に向かって取り組む教科群の、その根っ子を叩いていると言ったら大袈裟か。
中に一つ、飛びぬけて背の高い作品があった。底の円形だけは、仲間と一緒だが。そこからの伸張が素晴らしい。高く広く、自重を支える。ゆったりと支配し、見渡している。積み上げていく子のゆらめき。教室のどよめき。

【5年 平面 花】「花のイメージを、墨汁と習字の筆を使って表現し、色をつけた。墨の黒や筆の線からイメージがふくらんだ。」

その一方で、「美術」へと突き抜けようとするものたち。5年生の平面「花」。
繊細さと、自信溢れる画面構成。装飾性。内に取り込んでいるものの、豊かさ。様々な花の形を多分借りてはいる。しかし、内からの充実が、後押ししている。そして、それらが立ち並んだ壁面と言ったら。
ここまで膨らんでいれば、形式とか技法とか、後々控えるものたちを、むしろ従えていける気がする。

【6年 平面 わたしの町】「屋上から見た、自分たちの住むまちを描いた。6年生まで過ごしてきた、この町でのエピソードも書き入れた。」

会場の最奥部。ここは、さらに一歩こちらの方へ迫っていた。6年生の平面「わたしの町」。
5年生の平面「くつ」と同様、絵と文章のコラボレーションだ。2つの仕事の編集に挑む。
緑とか、大学通りとか、桜とか。一橋大学とか、まちの人の挨拶とか。この国立のまちの思い出がモチーフ。引っ越してきた子も多い。

“私たちのクラスはみんな国立に住んでいます。国立は文教地区で、緑が多くて、静かなところだと思います。有名な一橋大学があります。いつもビルから富士山が見えます。とてもきれいです。”

赤い三角屋根はやはり見当たらない。大きなマンションが目立つ。

“昔、国立駅は三角屋根でその形がぼくは好きでした。だけどある日国立は四角屋根になってしまってそんな国立がぼくはあまり好きではありません。またもとの国立駅にもどればいいのになあ。”

「絵」になるものばかりではない。灰色の紙に、濁色だけでまとめた作品もあった。それは、任されている。こちらが思っている以上に、見知っているのかもしれない。12歳の市民がいた。

三小では、展覧会と学芸会が一年おきに開かれている。もともと教育に関心の高い保護者の多い街だ。学校に協力的な市民が多い。積み重ねが大きいのだそうだ。この日も、朝から保護者が多かった。
イメージの多様性と遊び心を担保しつつ、一つの形、ある高みへと導く方向の確かさ。それを支える、地域の文化。
by gei-shigoto | 2009-02-09 18:02 | 美術
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